六月も残り僅かとなりました。
今年も半分が過ぎようとしています。

一年の折り返しにあたる六月三十日は「夏越の祓（なごしのはらい）」。
一月から六月までの半年間の穢れをはらい、
無事に過ごせたことを感謝し、そして
七月から十二月までの残り半年の無病息災を祈願する夏越の祓は
多くの神社で催されます。

鳥居の下や境内に、茅やわらを束ねて作った大きな輪が設けられ、
この茅の輪をくぐると、病気や災厄から免れる、という
「茅の輪くぐり」は、夏越の祓を象徴する行事。
茅の輪は、その大きさ、色、太さ等、様々で、
中には、ごく小さな茅の輪をお守りのように身に着ける、
というところもあるようです。

また、
くぐる際に、左回りではじめ、詞を唱えながら8の字に…と
くぐり方の作法が決まっている所もあったり…。
その起源は、日本神話のスサノオノミコトに由来する
とも言われていますが、
かつて、夏場には疫病が流行り、
あっというまに蔓延していたことから、
無病息災を祈る気持ちがとても強かったのでしょう。

そして、無病息災を願って京都で食べられていたのが「水無月」です。
和菓子には珍しい三角の形は暑気を払う氷片を模したもの、
上にのせた小豆の赤色は邪気払い、魔除けの意味が込められています。

かつて氷は高級品で、庶民は簡単に入手できず、
代わりに氷に見立てたお菓子を食することで、
京都の夏の蒸し暑さを乗り切ろうとしていたのが
そのはじまりなのでしょう。

きょうは、水無月を作ってみました。
ういろうに似た生地の上に小豆、というシンプルな構造ですが、
粉類の配合によって、食感がかなり違ってきます。

市販の物でも、お店によって、
もちもちだったり、しこしこっとコシがあったり、
やわらかだったり、かためだったり、また、
透明感があったり、マットな感じだったり、様々です。

原料は、砂糖＋水＋粉類なのですが、粉の配合で
食感が大きく変わってきます。
料理本やネット上でレシピを見てみても、
粉類が、薄力粉だけのものもあれば、米粉（上新粉や白玉粉など）主体のもの
くず粉や片栗粉など、いろいろ加わっているものなど、
本当にいろいろあります。


もともとは、色も白の上に小豆の赤、でしたが、
黒糖味で茶色い生地のものや、抹茶風味で緑色のもの、
上にも、小豆のほかに、えんどう豆や手亡豆や白花豆、金時豆、
また、栗ものっているもの…等など多種多様です。

今回ご紹介するのは、薄力粉に上新粉、そしてくず粉を使って、
もっちりとしながら、弾力があって、歯ぎれもよい水無月です。

そして、甘みは黒砂糖、隠し味に黒ごまねりねりを加えた
黒っぽい色の水無月です。
土台が黒いので、上には、明るいクリーム色の手亡豆（白花豆）を
小豆よりも多めに散らしてみました。（これはお好みで…）

黒ごまねりねりで、ほんのりごま風味。
コクがあって、素朴な甘さの黒砂糖とよく合い、
あっさりした甘みは、甘いものが苦手な方にも好評です。

夏越の払いに、無病息災を願って作って食べてみてください。

水無月～ほんのりごま風味

【材料】 8個分（約14㎝角の流し缶）
・黒ごまねりねり（黒練りごま）　小さじ2
・くず粉　30g
・薄力粉　50g
・上新粉　25g
・黒砂糖（粉状）　80g
・水　200㏄
・小豆の甘煮・手亡豆（白花豆）甘煮（甘納豆）　合わせて120～150g

【作り方】
①流し缶にクッキングぺーパーをしいておく。

②ボウルに黒ごまねりねりとくず粉を入れ、水を少しずつ加え混ぜ、溶きのばす。

③別のボウルに、薄力粉、上新粉、黒砂糖を入れて混ぜ、②を少しずつ加えてよく混ぜる。大さじ2杯分を残して①に流し入れる。

④③を、沸騰している蒸し器に入れて、強めの火で10～15分蒸す。

⑤表面をキッチンペーパーで軽く押さえて水分をとり、豆の甘煮を全体に散らす。

⑥③で取っておいた大さじ2に水を大さじ1加え混ぜ、⑤の上からそっと流し入れ、15分ほど蒸す。

⑦冷めると型から出して、三角形に切り分ける。（水で濡らした包丁で切る）

※甘納豆を使う場合、くっついている砂糖は、さっとふきとる。

今回使用したのはコチラ