- 今日(京)のおばんざいなぁに
- 2019.08.14
のっぺぃ汁~おしょらいさんのお膳に
八月の大きな行事といえば
盂蘭盆会(うらぼんえ)…お盆です。
地域によっては、七月のところもあるようですが、
京都では、「おしょらいさん」と呼んで、
八月十三日にお迎えして十六日の朝にお送りするまで、亡くなった人を偲び、ご先祖の供養をします。
(京都でも宗派によっては、仏恩に感謝する法要で
ご先祖の供養という意味ではないところもあります)
「おしょらいさん」のときの料理は精進料理です。
お盆の期間は、家族も精進料理をお相伴する…
本来はそうだったのですが、今では別の献立、
というご家庭も少なくないことと思います。
さておき、おしょらいさんの精進料理は、
薄味で、やわらかめで、さっぱりしたもの…
…が受け継がれているようです。
生前に好物だったものを組み合わせたり、
日を決めてお供えしたり、ご家庭によって色いろでしょう。
よく使う食材は、お豆腐や油揚げ、麩、大豆など豆類、ささげやなす、きゅうり、かぼちゃ、とうがらし、三度豆などの夏野菜や、芋類。
そして、おだしはもちろん、昆布かしいたけの精進だし。かつお節やだしじゃこ等は使いません。
あっさりしたイメージの精進に、
コクをプラスする素材が、ごま!です。
ごま油で炒めたり、すりごまで和えたりすることで、風味がよく、美味しくなります。
きょうご紹介するのは、のっぺぃ汁。
野菜と乾物の澄まし汁に葛粉でとろみをつけたおつゆです。
おしょらいさんの最後の夜、十五日に締めくくりにいただくとも聞きます。
有名な新潟の「のっぺ」など、全国各地に「のっぺい」に似た名の郷土料理の煮物、汁物があり、鶏肉や鮭など入っていることが多いです。
おしょらいさんの「のっぺぃ汁」は、昆布だしに、
具が瓜やしいたけ、湯葉、かんぴょうなど夏野菜と乾物。
ほかに、小芋、湯葉、油揚げ、三度豆など、
ご家庭によっていろいろです。
こののっぺぃ汁は、かんぴょう入り。
かんぴょうは、食感がよく、いいだしも出ます。(無漂白のかんぴょう)
そして、ごま油で炒めた生麩のもちもち感と風味が
じゅわっと美味しく、ごまの香りがきいています。
お盆の一品にも、普段の一品にも
是非作ってみてください。
◆ のっぺぃ汁
【材料】(約3~4人分)
・干しいたけ 2枚
・かんぴょう 約5g
・生麩 約10cm分
・きゅうり 1本
・ごま油 小さじ1
・戻し汁(しいたけ、かんぴょう、昆布) 2.5カップ
・塩 少々
・片栗粉 少々
A【うす口醤油・酒・みりん 各大さじ1】
・生姜 1かけ
・白炒りごま 小さじ1
【作り方】
1.しいたけは水で戻して細切りにする。
かんぴょうは洗って水に10分程浸けて、塩をもみ込んで洗い、さっとゆでて15㎝位に切って結んでおく。
戻し汁はどちらもとっておく。
2.生麩は巾1cm強に切り、片栗粉をうすくまぶして、ごま油で両面炒め焼きにする。
かるく焼き色がつくくらい(これは”よもぎ麩”です)
3.きゅうりは縦半分に切り、スプーンで種をとり、約5㎜巾の斜め切りにする。
4.戻し汁とAを鍋に入れて火にかけ、1、2、3を入れて煮る。塩を加えて味をととのえ、水でといたくず粉でとろみをつけて器によそう。
5.おろし生姜をのせ、炒りごまを指でひねって散らす。
【今回使用したのはコチラ】