- 今日(京)のおばんざいなぁに
- 2016.07.30
土用といえば…
今年の土用の丑は、きょう七月三十日。
少し前から、土用の丑の日をめぐる、いろいろなことを
新聞やらニュースやらチラシなどで目にします。
土用の丑、といえば、数年前までは、暑い夏を元気に乗り切るため、
鰻(うなぎ)を食べて栄養をつけて…という習慣を当たり前のように
思っていました。
が、ここ数十年 徐々に下降していた鰻の漁獲量が 近年激減して深刻化、
ついに一昨年、鰻は 絶滅危惧種に指定され、値段も高騰、
気軽に食べられなくなりました。
新聞やニュースでは、
外国産の鰻の輸入や安全性の記事、
鰻に代わるものとして、うなぎの味に近づけた養殖ナマズの話、
鰻の蒲焼きのかわりに、全然違う食材で作る蒲焼き…
…例えば、なす、じゃがいもやれんこん等のでんぷん質のもの、
はんぺんなどを使って、見た目を蒲焼きに似せたもの…
等など、いろいろな話題が見られます。
この「今日(京)のおばんざい、なぁに。」でも、前に
じゃが芋と海苔を使った蒲焼きをご紹介しました。
(こちら→2014年7月29日分)
残念なことに、今年は、シラスウナギの不漁の影響で、
昨年よりも一割ほど鰻の値は高くなっているそうです。
ところで、
土用には、鰻以外にも、
昔から食べられている食材があります。
鰻ほど有名ではないのですが、
土用卵や、土用しじみ。
卵は、完全栄養食品。
その上、夏の土用に産み落とされた卵は、
特に精が付くと言われてきました。
そして、土用のしじみ(蜆)。
蜆の旬は、夏と冬の2回ありますが、
夏の「土用蜆」は、昔から「土用の蜆は腹の薬」と言われ、
鰻よりも昔から、土用に食されていたそう。
貝の中でも小さくて地味な印象のしじみですが、
滋養の宝庫のような貝類の中でも、
鉄分、ビタミンB1やビタミンEの含有量はトップクラス、
鰻の栄養にも負けないくらい、栄養豊富なのです。
また、「生きた肝臓薬」とも言われるほどで、
肝臓の機能を修復したり、活性化する効果に富んでいます。
ほかにも、貧血の予防や疲れ眼の改善、利尿の促進や
免疫力の強化など、様々な身体にいい効果があげられます。
旬の時期のしじみは、栄養価が普段より高くなることから、
土用の丑の日にしじみを食べるというのは、理にかなった話…
昔の人の知恵には、驚かされます。
さて、土用の丑の晩ごはん、
鰻があってもなくても、しじみの赤だしを食卓に…
いかがでしょう!
◆ しじみの赤だし
【材料】(約4人分)
しじみ 約300g、 昆布だし 3~4カップ、
赤みそ 大さじ2~3(味噌の塩加減によって味をみて調節)
酒 大さじ2、 青味(ねぎ、三つ葉、貝割れなど)
ごま油、練り白ごま 各適宜
【作り方】
1.しじみは、殻をよく洗う(殻を合わせて軽くこするように)
2.1%の塩水をつくり、バットに平たく並べてひたひたに漬ける。
(500ccの水に塩約5g)
3.さっと洗ってざるに上げてから、昆布だしと酒と一緒に鍋に入れて
火にかけ、ゆっくり沸騰させ、アクをとりながら、弱火で少し煮る。
4.殻が開くと、みそを入れて煮とかし、器に盛り、青味を散らす。
※ お好みで、みそを煮溶かす時に、練りごまを一緒に溶いたり、
(一人小さじ1くらい)
あるいは、仕上げにごま油を少したらすと、ごま風味が楽しめます。
※ ちなみに、私は、初めはそのままいただき、途中でごま油を加え、
風味の変化を楽しんでいます。
【今回使用したのはコチラ】
(白)ごま油