- 今日(京)のおばんざいなぁに
- 2015.07.13
はもの落とし~祇園祭の献立
コンチキチン コンチキチン ♪
京都の街中を歩くと、祇園囃子が聞こえてきます。
この音を耳にすると、
祇園祭の光景が頭の中に浮かび、
むせ返るような蒸し暑い京都の空気まで
感じられるほどです。
コンチキチン…
まさに、七月の京都を象徴する音です。
コンチキチンの祇園囃子を聞くと、
この夏、無病息災で過ごせる、と言われています。
そもそも、祇園祭は、平安時代、各地で疫病が流行した時に、
疫病退散を祈願したのが起源。
神社と町衆の力で、1100年以上、
脈々と受け継がれているのです。
7月1日から始まった祇園祭。
10日から「鉾建て」「山建て」が始まり、
山・鉾が組み立てられて…
12日からは「曳き初め」。
「曳き初め」は、山鉾巡行を前に、鉾を試しにひく
試運転のようなものです。
本番の山鉾巡行とは違って、
「曳き初め」は一般の人も鉾をひくことができます。
そして、
明日14日から16日の3日間は、
宵山。
夜は、山鉾の提灯に火が入り、祇園囃子の音が響き、
お祭りの雰囲気が盛り上がり、たくさんの人々で賑わいます。
山鉾町の町屋で飾られる、家宝の屏風、道具などを
見ることもできます。
さて、
祇園祭の時季に美味しいものといえば、
はも(鱧)です!
別名「鱧祭」と呼ばれるほど、
祇園祭とはもは密接な関係です。
というのは…
海から離れた京都では、交通の便が悪い昔、
真夏に「鮮度のいい魚」を手に入れることは至難の業でした。
が、ずば抜けて生命力の強い鱧だけは、瀬戸内から
生きたまま京都に運ばれたそうです。
祇園祭の時季に、脂がのってまさに旬、そして
この暑い夏に入手できた唯一の魚だったことから、
夏の京都に欠かせない魚となり、祇園祭にいただく習慣が
根づいたのでしょう。
ただ、鱧には硬い小骨が多く、そのまま食べることができません。
そこで、皮を残して、細かく身を(小骨のついた身を)切る
「骨切り」という手法が工夫されたのです。
一寸(約3cm)を約24 切り込む、という細かさ、
これは、家庭では難しいので魚屋さんにやってもらいます。
骨切りした鱧は、いろいろなお料理に使われますが、きょうは
鱧ならではの、鱧の落とし、を作ってみました。
熱湯に「落とし」て、さっと引き上げ、氷水でさっと冷やし、
すぐに水を切って盛り付けた「鱧の落とし」
熱湯に入れた途端、皮がちぢんで丸まり、骨きりした身の切り目が
開いて、花が咲いたようになります。
梅肉だれや、辛子酢味噌、わさび醤油でいただきますが、
酸味のあるたれが、たん白な鱧の旨みを引き立てます。
ちょっと胡麻の風味を加えた二つのたれをご紹介します。
「鱧の落とし」の状態でも売っていますが、家庭で作りたてを
食べるのは、格別の夏の味です。
◆はもの落とし
【材料】(約4人分)
はも(骨きりしたもの)1尾分、 塩 少々
A 梅肉だれ【梅干し大1個、みりん・醤油 約小さじ1/2、
白すりごま 小さじ1】
B 辛子酢味噌【白味噌 大さじ2、白練りごま 小さじ1、
酢・砂糖 各大さじ1、練り辛子・塩 各少々】
添え(青じそ、赤のり、菊花…ほかに、大根、きゅうりの千切りなど
お好みで)
【作り方】
1.梅肉だれを作る。梅干しを包丁でたたいてベースト状にし、
Aの【 】内の残りの材料と混ぜる。
2.辛子酢味噌を作る。Bの【 】内の材料を全部混ぜる。
3.はもは、2~3cm幅に切る。鍋にたっぷりお湯を沸かし、塩を入れる。
4.湯は、かるく沸くくらいの火力にして(ぐらぐらではなくふつふつ)
はもを2切れずつそっと入れ、くるっと花が咲いたように丸まり、
白くなると、氷水にいれて冷やし、さっと上げて水分をとって器に盛る。
(加熱は30秒くらい)
5.梅肉だれ、辛子酢味噌、お好みでつけてどうぞ。
※ A、Bのたれは、それぞれ、お好みの味に分量を調節してください。
※ 4で、一度にたくさん入れてゆでると、湯の温度が一気に下がるので、
少しずつ入れます。
【今回使用したのはコチラ】
すりごま(白)