- 今日(京)のおばんざいなぁに
- 2016.04.14
春香る~筍とこごみ
世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
…古今和歌集にある在原業平が詠んだ歌です。
世の中に 全く桜がなかったら、どんなに春をのどかな気持ちで
過ごせるだろうか!?…というような意味。
桜が気になり、はかなく散る桜の花を名残惜しむ心は、
今も昔も同じでしょうか。
つい先日満開だったところが、いつのまにか
葉桜となっています。
桜の花はあっというまに散ってしまいますが、
春をゆっくり楽しみ、味わえるのは、山菜類。
ふきのとうから始まって、
うど、タラの芽、こごみ、わらび、ぜんまい、ふき、うこぎ、
そして、筍…等など。
春の山菜には、独特の風味や苦みがあります。
苦み、というと、苦手な方もいらっしゃるかもしれません。が、
苦味の成分は、 抗酸化作用のあるポリフェノール、
新陳代謝を促進したり、胃腸の働きをよくしたり、
老化を防止したり…身体に嬉しいことばかりです。
そして、調理法によって、苦みはアクセントになったり、
絶妙の味わい深さになったりします。
春を感じる山菜、
きょうは、筍とこごみを使ってみました。
筍は、ちょっと手間がかかりますが、
旬の掘りたてをゆがいたものは、
水煮のパック詰めのものとは別物の美味しさです。
ゆでたては、筍ならではの美味しい風味がたっぷり、
甘味もあり、薄味でたくだけで、さっと炒めて塩をふるだけで、
美味しいものです。
こごみは、扱いやすい山菜で、洗ってさっと塩ゆでして
冷水にとってから水分をとるだけの手軽さ。
この筍とこごみをさっと炒めて塩と醤油をからめるだけの
シンプルなレシピをご紹介します。
お好みで、うどやわらびなど他の山菜を加えたり、
また、豚肉などを一緒に炒めてボリュームアップしても
美味しいです。
春が感じられるひと皿。いかがでしょうか。
◆ 春香る~筍とこごみの炒め物
【材料】 筍 適宜(小1/2本くらい)、 こごみ 適宜(10本くらい)
ごま油 大さじ1、 塩・醤油 各少々
【作り方】1.筍は下記のようにゆでたものを、薄切りにする。
2.こごみは、洗って塩ゆでして(30~60秒)、冷水にとって
色止めして、水気をふいて、食べやすく切る。
3.フライパンにごま油を熱し、筍、こごみと順に炒め、
塩をふりかける。火を止める前に醤油を鍋肌から入れて
全体にからめて器に盛る。
▲筍のゆで方
1.筍は、根元のプツプツした部分を削り落とし、
穂先を斜めに少し切り落とす。(だいたい3cmくらい)
2.上から縦に切れ目を入れる。(1cm弱の深さで)
(根元にいくほど浅く)
3.大き目の鍋に筍を入れ、たっぷりの水と米ぬか(又は米のとぎ汁)、
赤唐辛子1本を入れて、火にかける。
4.沸騰すると、筍が浮かないように落しぶた(なければお皿)をし、
中弱火で1時間を目安に煮る。
根元を竹串で刺して、す~っと通るくらい。
(新鮮なもの、小さいものは40~50分、
大きなものは約1時間半。水を足しながら)
5.そのままゆで汁の中で冷ます。
6.筍を取り出し、皮をはがし、水洗いして水に浸けておく。
(タッパーなどに入れて、毎日水を替えると、1週間は
日持ちする)
※ 鮮度のいい筍は、ぬか、赤唐辛子なしで、水だけで
ゆでられます。筍は、掘り出された瞬間から、旨味成分が
酵素の働きでえぐみに変わるのですが、ゆでることで、酵素が働かなくなり、
えぐみが出なくなるので、筍は、できるだけはやくゆでる方がいいのです。
※ 皮を付けたままゆでるのは、皮の成分で、
アクが抜けやすくなり、またやわらかくなるため。
※ぬかを入れるのは、えぐみを抑えるため。
※ 赤唐辛子を入れるのは、えぐみを抑えるため。
そして、日持ちをよくする抗菌効果もある。
【今回使用したのはコチラ】
(白)ごま油